愛って


 あなたは、愛を知っていますか。
 あなたは、人を好きになったことがありますか。

 現代社会ほど愛という言葉が氾濫している時代はあるまい。
 なのになぜ、愛と言う言葉がこんなに空疎に響くのだろう。
 現代社会ほど愛から遠ざかった時代は、今までにないのではないだろうか。
 なぜに、人は、愛に飢え、愛を求め彷徨うのか。

 愛。
 男と女の愛。恋慕。思慕。
 子を想う母の心。
 子を慈しむ(いつくしむ)父の念。
 親を慕う(したう)子の想い。
 妻を労る(いたわる)思いやり・恕(じょ)。
 夫を愛おしむ(いとおしむ)純真。
 人の恩。人の操(みさお)。
 友への忠。
 国を愛する誠(まこと)。
 国の気迫。
 天地の真理。
 故郷を懐かしむ情(なさけ)。
 神に祈る信(まこと)。
 の真(まこと)。神の恵み。神の許し。救済。
 。 

 百万言費やそうと愛を表すことはできないと言うのに、
 人を愛すれば愛を知る事ができる。
 愛とは、実践。現実。

 愛とは、愛する事。愛する真実。
 愛は、愛される事ではない。愛を求める虚しさ。
 愛は、愛する喜び。愛される哀しさ。
 

愛の真実


 好きだとか、嫌いだとかを愛だと思いこんでいる人がいる。
 恋に恋をしている人がいる。
 好きとか、きらいとか言うのは、愛の外見に過ぎない。
 恋は、幻想である。
 いずれも、愛から派生するものだが、愛の本質ではない。

 愛という言葉から、連想されるのは、
 純潔、純真、無垢、純白、清純、至純、至上、汚れを知らぬ純粋さ。
 献身。ひたむきさ。真心。思い。
 ところが、現代人は、純粋さを刹那的な快楽に置き換えようとしている。
 自分の汚れた魂を誤魔化すために。

 愛は、不変的な感情である。
 好きとか、嫌いとか言う刹那的な感情を惹起するけれど、
 好きとか嫌いという一時的な感情で左右されたりはしない。
 恋は、愛を生み出しはするが、愛そのものではない。
 恋の真実は、愛を成就した時に実現する。

 愛と欲とは違う。愛は、愛。欲は欲だ。

 愛という言葉には、もっと凛とした響きがあった。
 愛という言葉には、現代人が失った凛とした響きがある。

 欲は、肉体的、生理的、観念的なものから生まれる。
 愛は、存在それ自体から発する。
 つまり、愛は、生きることの意義。本質。
 だから人は愛する者の為に、命を賭して戦うのである。

愛と性


 現代人の不幸は、愛を知る前に、性欲を知る事だ。
 愛を教え込まれる前に、性欲を植え付けられることだ。

 今、学校教育では、性教育はしても、
 愛情教育はしない。できない。
 なぜだろう。
 そこに現代の病巣がある。

 私は、性欲を否定はしない。
 ただ、性欲を怖れるのだ。

 欲は、生命の活力。
 性欲は、愛の活力。
 欲がなければ生きられない。
 性欲があるから、人の世は栄え、拡がる。
 欲は、エネルギー。
 同時に、欲は、抑制しなければ、暴発する。危険物。
 性欲は、男と女の愛の源。
 同時に、性欲は、人間を堕落や破滅へと誘う。誘惑。
 性欲は、嫉妬、妬み、嫉み、恨み、憎しみ、怨念、憎悪、嫌悪の根源。

 性欲は強い。理性だけでは、抗い難いほど強い。
 性欲を抑えられるのは、愛の力のみである。
 愛の力によってのみ性欲を克服する事ができる。
 性欲を克服することによって愛を全うできるのである。
 そして、真実の人生を全うできるのである。

 性欲は、愛があってはじめて浄化できる。
 愛欲。愛憎。
 性欲は、愛によってしか制御できない。

 愛は、全てを純化し、浄化し、燃やし尽くし、焼き尽くす力。
 過去の過ちも、欲も、憎しみも、悲しみも焼き尽くしてしまう。
 愛は、罪、咎(とが)、穢れ(けがれ)、汚れ、不浄を洗い流してくれる。
 愛は、たおやかで、穏やかで、ひろやかで、暖かで、和やかなもの。
 愛のあるところへ行けば、自ずと癒され。穏やかになれる。それが愛がある場。
 愛は、純粋で、穢れを知らぬもの。
 愛は、許す事。
 愛があるから性欲を浄化できる。
 愛のない欲は、妖しい。

 愛と欲とは、愛染明王のごとく、身と心を燃やし尽くす。
 その炎の中からまた愛は蘇る。

愛する喜び・愛する哀しみ


 愛は、喜びだけをもたらすわけではない。悲しみや苦しみももたらす。
 どうしようもない絶望や寂寥感も持ってくる。
 幸せな未来と哀しい別れ。
 楽しい想い出と失われた時間。

 逢うは別れのはじめなり。
 愛惜離別。愛別離苦。
 愛すれば愛するほど、愛する者を失った時の悲しみは深い。
 愛は、安らぎであると同時に苦しみ。
 愛は、癒しであると伴に、癒される事のない傷を負わせる。

 人は、愛に憧れ。愛に怯える。
 愛したいと思いながら、愛せない。
 愛されたいと思いながら、確かめようがない。
 確かめようのない愛を求め、失うことを怖れる。

 なのに、人は、愛がなければ生きられない。
 淋しすぎる。侘びしすぎる。
 人は、愛に理想を求め、愛の現実に絶望する。
 それでも人は愛さずにいられない。
 なぜなら、
 愛は、生きることだから。

至上の愛


 愛こそ全て。
 愛は、全ての始まり。

 愛があるから、哀しみに耐えられる。
 愛があるから、我慢できる。
 愛があるから、自分が保てる。
 愛があるから、共感できる。
 愛があるから、結束できる。
 愛があるから、皆の思いをまとめられる。
 愛があるから、心を一つにできる。
 愛があるから、決断できる。
 愛があるから、行動できる。
 愛があるから、やり遂げられる。
 愛があるから、大切なものを護れる。
 愛があるから、共に生きられる。
 愛があるから、自他共に許せる。
 愛があるから、夢を実現できる。
 愛があるから、幸せになれる。

 愛は、母の愛に始まり、神の愛に至る。
 神の愛は、普遍的で絶対的な愛。
 至上の愛。




  



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